皇帝と達人  







「なぁ・・・今日の柳、変じゃねーか?」

放課後の部活の最中、ジャッカルが試合をしている柳を見てつぶやいた


ベンチに座っていた丸井も少し考え込んでから、そういえば・・・と納得。

「熱でもあるのでしょうか?」

眼鏡を人差し指で直しながら、柳生がさらにいう。

その三人の言葉も聞いていないように、

一人仁王だけは、フッと軽く笑みをこぼした。


当の本人の柳と試合しているは赤也。

もちろん、赤也も変だな?と気づいてはいたものの、試合では手を抜かない。

それでも負けてしまった、赤也だったが。

「柳先輩」

少し顔が火照っている柳に赤也は声をかけた。

「風邪っスか?顔が赤いですけど・・・熱でもあるんじゃないっスか?」

柳にしては珍しい、火照った顔とボォ〜としている意識。

肌が白い分、それも目立つ。

「・・・いや・・・大丈夫だ・・・心配はいらない」

そうはいっても、このままではやはり部活に支障をきたすことは薄々分かっていること。

「部室で休んだ方がいいっスよ」

赤也もこのまま、引き下がらず、そう進める。

二人はコートを出て、ベンチへと足を運ぶ。

「柳君、熱があるのではありませんか?」

柳生がすかさず、そう聞いてきた。

「まぁ、少し熱っぽいことは熱っぽいが・・・」

口を濁らせながら、柳は柳生に返した。

「何をしている?」

そこへ、顧問との打ち合わせが終わった真田が厳しい顔をしてやってきた。

「あ、真田副部長。それが・・・」

赤也が最初に口をひらいた。

それを仁王が柳を真田の側に引っ張ると、

「うちの参謀は具合が悪いらしい・・・」

そこまでいうと、仁王は真田に耳打ちをした。

――これ以上は・・・勘弁してやりんしゃい――

「仁王っ!」

その言葉に真田は仁王の顔を睨んだ。

「ま、こっちは任せんしゃい」

仁王はフッと笑みをこぼした。

「余計なことを・・・蓮ニを休ませてくる。しばらく後を頼む」

柳は真田に抱えられながら、部室へと向かった。



部室に入った真田は柳を椅子に座らせた。

柳の身体はさらに熱く火照っていた。

「どうだ、蓮ニ?」

真田は柳の頬に手をあてながら、意味深な言葉を吐いた。

「んン・・・弦・・・一郎・・・」

真田に身体を軽く触られるたびに、柳はピクンと震わせた。

閉じられている目から溜まる涙を真田は唇で受け止めていく。


隣に座り、柳の身体を自分の体に預けさせる。

そのまま、右手を柳の中心へと後ろから忍ばせていった。

「ん・ン・・・あ・・・」

柳の秘所から楕円系のバイブが静かに抜き取られていく。


「よく、ずっと我慢していたな、蓮ニ。もう我慢できないのだろう?」

肩で息をして、真田に体を預けていた柳は

苦痛な表情を浮かべ、小さくうなずいた。

「で、蓮ニ。俺にどうして欲しいんだ?」

そんな柳に真田は表に出さないまでも、非常に興奮していた。

もっと、苛めてみたいと思った。

その綺麗な顔を汚させてみたかった。

仁王はそんな真田の欲望に気づいていたのか、

先日プレゼントだといって受け取ったのがこのバイブだった。

仁王がどうやって手に入れたのかは謎だが、

使ってみたいという衝動に駆られたのは確かだった。

「弦・・・一郎・・・俺をイカせて・・・くれ・・・」

真田は優しく笑みをこぼしてから、柳にそっとキスをした。

「蓮ニ・・・一緒にイこう・・・」

真田はズボンを脱ぐと、そのまま、

十分な柳のそこに己の分身を静かに埋めた。


「柳君大丈夫でしょうか?」

柳生は仁王と試合をするべく、コートに向かっていた。

「そのうち、よくなる。心配せんでもいい」

その仁王の言葉に柳生は一抹の不安を感じた。

「また、何かやらかしましたね。仁王君・・・」

その柳生の言葉にも仁王はただ、含んだ笑みを浮かべただけだった。




翌日・・・


仁王は廊下で真田と柳にすれ違った。

「どうやった。アレの使い心地は?」

「悪くはなかったがな・・・相変わらずお前の洞察力には恐ろしいものがある」

あまり変化のない真田の表情だったが、

仁王と柳には微妙の変化に気づいた。

「柳は?」

続けて、仁王は聞く。

柳は少し、黙っていたが・・・軽く笑みをこぼした。

「人をテストに使うとは・・・お前も油断がないな。
それよりもアレをどう入手したのかが俺にはそれ以上に気になるところだが・・・」

柳の言葉に仁王はヒューと口笛を吹くと、

「さすがは参謀。全てお見通しか・・・」

仁王は柳の質問にはそっちのけで、そのまま、二人の横を通り過ぎた。

――また、面白いのみつけたら、プレゼントしちょるから――

真田に耳打ちした。

「に・・・仁王っ!」

少し顔を赤らめた、真田がそこにはいた。

おわり